【第3回:制作進行編】素人でもできる!映画を作りたいあなたへ〜自主映画制作の道〜

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自主映画制作ハウツーシリーズ第3回目です。

 

今回は、前回紹介した3つの制作段階の一番初めのプリプロダクションの「制作進行」と呼ばれる部分に焦点を当てて実際に僕が行っている細かな作業を解説します。

 

 

映画撮影における時間軸

映画撮影においてなぜ撮影や録音を担当する以外の部署が必要になるのか、普段映画を見ているだけではわかりませんよね。

もちろん、お金や人を集める必要があるというのも大きな理由です。

 

しかし、それだけではない映画撮影ならではの理由があります。

それは映画の中の時間軸です。

 

映画のストーリーの中にはもちろん時間軸があり、実際にそのストーリーを撮影で表現するとなったら様々な工夫が必要になってきます。

例えば、レストランで1分間会話をする男女を映すシーンを作るためには、定点カメラで1分間撮影するだけではなく、画角を変えていくつかのカットを撮ることになるでしょう。そうすると、現場での撮影の準備や演技指導、ミスによるテイク重ねなどを考慮に入れると、1分のシーンを撮るのにも数時間という長い時間が必要になってきます。

 

そのため、ストーリー上ではある1日のシーンを日をまたいで撮影することは当たり前で、ロケ地の様子やキャストの状態、天気など、前後のシーンをスケジュールの面で支える人が必要になってくるのです。

 

制作進行とは

第一回での自主映画と商業映画との比較でもあった通り、プリプロダクションの制作進行でも大きな違いがあり、自主映画(特に僕が行っているような学生映画規模のもの)では予算回収やキャスティングなどのお金が発生する部分が曖昧になっているということもあり、俗にプロデューサーと呼ばれる人がやるような作業をざっくり請け負うのが「制作進行」です。

 

作業工程としては以下の表にまとめた通りに進めて、実際の撮影を無事に終え全てのシーンを撮り切れるよう準備します。

 

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見てわかるかとは思いますが、脚本を読み込んでリストを作ったり、監督と話し合って協力してくれるスタッフやキャストの方々に依頼をかけたりといった、映画作りの花形とは大きくかけ離れた部分ではあります。

 

しかし、この部分がしっかりしていないと撮影は成り立たない大事な工程であることは、映画作りを始めると痛感すると思います。

めちゃめちゃ大事です。

 

求められる能力

表の中でもすでに矢印が分岐しており、実際の制作進行の作業でも常にマルチタスクをこなす必要が出てきます。

例えば、スタッフの予定を聞きながらロケ地側の都合を考慮して、尚且つそのロケ地で必要な美術の準備の進行状況を把握した上で、限られた撮影期間のスケジュールを組む、など。

 

さらに、外ロケに際には天気の都合で前後のシーンが繋がらないということにもなる可能性があり、撮影現場で急遽中止になることもあります。

 

そういったあらゆる可能性を考慮に入れて、段取りを組む力というのが求められるでしょう。

 

また、制作進行を任された人は監督と密にコミュニケーションを取ることはもちろん、多くの人と事前に会う必要も出てきます。そのため最低限の礼儀とコミュニケーション能力が備わっていることも求められます。

 

まとめ

今回は、プリプロダクションの制作進行に焦点をあて、その概要について解説しました。

 

次回は表の中に出てきた各リストの機能と作例を紹介します。