【第4回:続・制作進行編】素人でもできる!映画を作りたいあなたへ〜自主映画制作の道〜

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自主映画制作ハウツーシリーズ第4回目です。

今回は、前回解説した制作進行の作業を滞りなく進めるためにオススメのリスト作りの機能とその例を紹介します。

 

 

 

前回紹介した通り制作進行での作業はマルチタスクをこなす力が求められ、多くのことを一度に把握しきるのは簡単なことではないため、わかりやすくリスト化しておくと、自分が把握しやすくなると同時に、スタッフで共有した時にも説明しやすくなります。

 

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総シーンリスト

これは脚本(第1稿)があがった瞬間に取り組める作業です。

ただ脚本中のシーン番号とシーン内容・ロケ予定地・作中での時間帯・キャスト・雑多なメモなどなど...とを結びつけて並べるだけのものなのですが、これが意外と便利なのです。

 

そもそも脚本の長さや書き方にもよりますが、脚本を読んだだけでは“制作に関わる人の立場”からしたら理解が浅く全体像の把握が難しくなります。

そこで、ストーリーが映像になる直前に位置する表現性の比較的高い脚本の文章を、制作進行にとって必要となる情報を抜き取ったわかりやすい記号に置き換えるのがこの総シーンリストになります。

 

以下は自分が実際に制作進行を担当した作品で使ったリストです。

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この作品では、回想シーンがところどころ挟まれていたのでリスト上で色をつけてわかりやすくしています。

 

脚本があがり次第とりあえずこれを作っておけば、自分自身がより脚本の理解が進むとともに、改稿やロケハン等の進行に対応しやすくなるでしょう。

 

総スケ 

脚本があがったら次にすることがスタッフ・キャスト集めです。

上の総シーンを作ってだいたい何箇所のロケ地で何日くらい撮影日程を組んだら全てのシーンを撮り切れるのかが把握できたら、スタッフ・キャストのスケジュール調整をしていくこととなります。

 

上の総シーンでは脚本の情報をただリスト化したに過ぎませんでしたが、次は実際に撮影する際の進行日程ごとに全てのシーンを捉え直す必要が出てきます。

そこで便利なのが“総スケ”と言われるリストです。これは総シーンリストで作った表を撮影日ごとに分けて作り直したリストのことです。

 

以下は先ほどの作品での総スケです。

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香盤表

総スケができ、ロケ地やスタッフ・キャストの都合がついて美術の作業の進行が進めば、いざ実際の撮影へと入っていきます。

その時に必要なのが、撮影に来てくれる人たちへの情報伝達です。例えば、集合・解散時間やロケ地、撮影予定のシーン番号や必要な衣装・小道具など、その日の天気予報まで書かれているとより良いかもしれません。

 

撮影に来る人が困らないように事前にスケジュールや撮影予定の詳細を載せたものが香盤表です。

 

香盤表が上二つのリストと違う点は、他の人に伝達するためのものであるという点が挙げられます。そのため、制作進行を担当する人によって作り方は違えど、見る人にとって見やすい表を作る必要があります。

 

以下は先ほどの作品で実際に作った香盤表です。

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これまでのリストと違って、まとめて作るのではなく撮影予定日1日ごとに作るとすっきりまとまった表になります。

 

香盤表をしっかり読んでもらわないことには、集合時間や集合場所が伝わらず、撮影に支障をきたしてしまいます。読んでもらえるよう、見やすい工夫をする必要があります。

 

まとめ

各リスト作りは事務的で大変そうに見えるものではありますが、撮影を滞りなく行うには必須アイテムとなります。

自分が見て理解しやすくなると同時に、他人に自分のイメージを伝えやすくすることができるように、わかりやすく作る工夫を試行錯誤して作業を進めていきましょう。

 

今回は自分の経験ベースで細かな作業のハウツーとなりました。

次回以降は美術や撮影工程に入っていきます。